好きなことを仕事にするにはどうすればいいか? まず、自分の好きなこと、何に興味を持つかというのは「アンテナ」ですよね。僕の場合は富士通で働いていながら「何かしたいな」と思っていた。はっきりとはわからないけど、何かをしたいと思っていた。それがアンテナを張ってる状態ですよね。
そこに「CMナレーター養成講座」の広告が目に入った。「ん? おもしろそうだな」と興味をもった。アンテナに引っかかったということですね。そしてやってみた。するとやればやるほどズブズブとのめり込んでいっちゃった。
やっていくうちに声の世界で生きていきたいと思うようになった。それは川の向こう岸にあって、よく見えない。川の深さもよくわからない。失敗するかもしれないって考えたけど、思い切って目の前の川の深さもわからないまま、跳んでみた。
そういうときって結局考えてもしょうがないと思うんですよね。失敗するかどうかなんていくら考えてもわからないって。失敗ばかり考えていると先に進めないじゃないですか。目の前の川を跳び越えようとしない人は、川の深さを測っちゃっうからでしょうね。深いとわかったら、落っこちたときのリスクを考えて「やめておこう」ってなる。
また、他人の言うことにやけに敏感になってしまう人もいますよね。だけど周りの人は実はそんなに気にしていない。自分だけ気にしちゃう。不安ですよね。そういうことってけっこうあるんじゃないですか? 本当にそうなるかどうか分からないのに、「こうなったらどうしよう」って必要以上に考えてしまう。自分で自分を不安に陥れている。不安材料を自分で作っちゃう。そうすると身動きが取れなくなっちゃう。
だけど結局、どうなるかなんてやってみないとわからないんですよ。時には「やってみてダメでもいいじゃないか」という開き直りというかやけっぱち的な気持ちが必要なんじゃないんですかね。
富士通を辞めて以来、分かれ道に立って迷ったときはずっと同じように考えて行動してきました。「考えてても先のことはわからないじゃないか。そういうときは思い切って跳んでみよう」「ダメならダメでいいじゃないか。そのときになって考えればいい」「またやり直せばいい。他の道に進めばいいじゃないか」「こういうチャンスがあるんだったらやるだけやってみよう」とね。
そうできるのは「それがやりたいから」。それだけ。あと、僕の場合は最初は悩みますがそのうち悩むこと自体が面倒くさくなるんです(笑)。「自分がやりたいんだからいいじゃないか」って。要は「自分は何をやりたいのか」「それを優先してみようじゃないか」というふうにやってきたんです。 |