交通事故裁判の大きな問題点は、そもそも審判を下す裁判官がもともと物理や数学が嫌いだから法曹界に行ったという人達が多いということですね。簡単な物理的説明が理解されないことが珍しくありません。
交通機械が起こす事故には、船舶事故、航空機事故、鉄道事故、自動車事故の4つがあります。船舶事故は、海難事故のことを一番よく知っている元船長や元機関長が審判官を務める海難審判庁で裁かれます。また、航空機事故と鉄道事故の原因究明は国土交通省の中の事故調査委員会でなされますが、これもそれぞれの道の専門家によって審議されています。
しかし、海難や航空機事故よりも断然多く起こっていて、年間6000もの人が死んでる自動車事故の場合はどうなってるかというと、元々衝突という物理現象を考えることが苦手で嫌いな裁判官や検察官や弁護士によって審議されている。しかも、対立的な議論の結果として「事実の確認」をするのですから、異常といわざるを得ません。
この人たちが自己の主張の裏づけとして、交通事故鑑定人を選択することがよくあります。しかし、この業界は、鑑定人自身の私がいうのもおかしな話ですが、極めて魑魅魍魎が徘徊する世界です。
私は工学鑑定の学問体系的な本のほかに、鑑定事例の紹介本をこれまでに6冊書いていますが、ここでは、3冊のエセ鑑定本を紹介し、それぞれのごまかしの内容を詳しく解説しています。もちろん、検察や警察や保険会社の異常な動きも赤裸々に描いています。そういうことをはっきりと言うことが不可欠な段階にあると思います。
要するに、裁判官がこの種の問題について極端に無知であることをいいことに、個人はもちろんのこと警察や検察さえもが組織の権威を保つために、また、保険会社は会社の利益を守るためにエセ鑑定を重用する場合があるということです。
真実ではないと判断される場合には、相手が警察だろうと検察だろうと裁判所だろうと、お構いなく徹底的に戦います。一例を挙げると裁判官が下した「詐欺奨励判決」を鑑定事例として著書で紹介したことに対して、詐欺師が私を訴えて来たことがあります。この場合には、書証として次々に質問状を出し、そのコピーを最高裁にも送って「詐欺奨励判決」を出した裁判官にも挑戦状を叩き付けましたが、詐欺師の代理人の弁護士が私のえぐい質問に音をあげた結果、この裁判の裁判官が鑑定論争には蓋をして、名誉毀損にはならないということで、私を全面勝訴させる判決を下してことを収めました。つまり、議論を逃げたわけです。
そのうち、生涯最後の著作として、もっと深く法曹界の無知蒙昧を抉りまくる本を書こうと、秘かに準備しているところです。 |