考えてみれば、自然界の、人間も含めて生き物というのは本来一体なんだよね。自然界と人間とはどこかにつながりがあって、そのサイクルの中に人間も生き物たちもいる。それを人間がちょっとした思い上がりで自然や他の生き物を自由にできると思ったりするからいけないんだよね。
人間なんか、地球ができて遥かに後に生まれたものだから、歴史は全くないと思ってもいいくらいなんだけどね。某大学教授の計算によると、地球の一生を1年に例えた場合、人間が出てきたのは12月31日の23時17分ころだとか。それだけ歴史がないにも関わらず一番偉そうな態度をとってるでしょ。それがそもそもおかしいよね。
特に海は人間が住める世界じゃないから、全く違う星だと思ったほうがいい。その中で、我々は自然界に極力影響を与えないような立場にいないといけないと思うよね。
海というのは全てのものを覆い被せて消してしまうし、表面的にみたら美しいけど、海の中ではたいへんなことが起ってる。でもその変化は普通の人ではなかなか感じることはできない。我々、潜る人間にしかわからない。いや、潜る人間でも、何も考えない、感じないで潜ってる人がほとんど。
そうこうしている間にも、猛烈なスピードで今、地球が破壊されてる。そういう変化が確実に目に見えるようになってきたから、これはやばいぞと真剣に思ってる。
だから、珊瑚礁の話、藻場の話、干潟の話、それらがなぜ大事で今どういう状態にあるのか、そして今人間は何をすべきなのかということを、大勢の人にわかりやすく伝えることが僕らのような仕事をしている者の使命だと思う。だから写真集や著書、いろんな講演やインタビューなどでメッセージを送ってるんだ。そういう積み重ねが大事なんじゃないかなと思ってるんだよね。 |