商事会社の嘱託社員として働きながら小説を書いていたんだけれど、オール讀物の新人賞をいただいた後、嘱託社員の契約も切れて。それ以降は執筆一本になった。
当然会社を辞めたあとは一銭も金が入ってこない。もうその日の食費にも困るような状態で。もうほんとに行き詰まる寸前だった。そのとき俺たち家族を助けてくれたのはサラ金だったんだよ。確かにサラ金には宇都宮弁護士が言ってたような極悪非道な面もある。でもね、評価しないで責めるだけっていうのは絶対おかしい。ちゃんと評価をするところは評価しろって。サラ金に助けられた人間がここにいるんだから。
サラ金に助けられた人の方が桁違いに多いんじゃないかな。ほんとに世の中、何かあると一方向から責めるじゃない、極悪非道のように。確かに、サラ金は極悪非道なこともやってるんだよ、やってるから余計に言われちゃうんだけど、でもその一方で9割くらいの人は助かってるんだよ、きっと。しかも残り一割の人たちは、借りた金を返さないから取り立てられるわけだろ。サラ金は、貸しもしない銭を取り立てに行ってるわけじゃないだろう。最初からウチは金利高いよって言ってるのに、それでも貸してくださいって行くわけでしょう? 借りたら、ああ助かったってニコニコして、返すときになって払えないから待ってくれって言うのならまだしも、払えないって開き直って文句言ったり。その上そもそも金利が高いだなんて、そういうの聞くとほんと腹立つんだよ。
どう言おうが、やっぱり銭がないときは銭を借りなきゃいけないわけだし、そのときに利息ゼロなんていう、そんなおとぎ話みたいな話はありえないんだから。だって俺が今負ってる借金の話にしても、元を言えば、返さなきゃいけない金っていうのは1億もないよ、きっと。6000万くらいで十分なはずだよ。残りはみんなわけのわからない利息だから。
もう絶対借金返し終えてるよなって思うんだけれど、だからといって、苦しかったときには借りてるわけだから。俺は助かってるんだから。しかも、向こうは直木賞作家ならともかく、これからどうなるかわかんないのにとりあえず貸してくれたわけだから。それを思ったら、大きなこと言えないよ。
だからってわけでもないけど、本の印税は一銭も俺のとこに入ってこないで、債権者の口座に直接振り込まれるようにしてるんだ。それが一番ラクだから。こっちに一回でも金が入ってきたら、絶対返すのが嫌になるよ。これだけ入って来るのかって。半分だけ返そうかとか思うでしょう。人間だもの。でもそうしたおかげで借金ももうだいぶ返せたよ。今年いっぱいくらいでなんとか残り全額返済できるんじゃないかな。
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