経験されており、マネジメント経験も豊富だったので、かなり有望な人だと思いました。特に30代以降ではマネジメント経験・能力は必須ですからね。
ちょうど私の抱えている案件で、管理部門の責任者のニーズがあったので、ぴったりだと思い、スカウトメールを送りました。
花田さんとの面談でまず感じたことは、論理的思考能力が高いということ。物事をロジカルに捉えることができ、分析しながら理詰めで話せるので、この人は「説得力のある人だな」と感じました。またこちらの目をしっかりと見て話すので、インパクトも強かったですね。
ただ、不安要素もありました。この「強さ」が裏目に出る場合もあるからです。どういうことかというと、説得力があるがゆえに面接で持論を展開すると、面接官が打ち負かされ、反感を買ってしまうこともあるのではないかと懸念したんですね。また、特にこのような大手設計会社の場合、設計士との接し方が問題になります。設計士は会社員といえども、気持ちは職人、「個人事業主」です。そのプライドの高い設計士たちと、うまく意思の疎通を保ち、かつマネジメントできるかどうかの見極めが、採用の際、一つの重要なポイントであったのです。
やはり1次面接で企業側が抱いた印象は「実力、実績的には全く問題ないが、設計士とうまくコミュケーションをとっていけるだろうか……」でした。
ですから、2次面接に臨む前に、花田さんにこうアドバイスしました。
「個人事業主のようなプライドの高い社員たちともうまくコミュニケーションを取ってやってきたということを自然にアピールした方がいい。言いたいことを全部言うのではなく、『腹八分目』な感じで、謙虚に臨んだ方がいい」と。
この助言を花田さんは正しく理解、実践したようで、一騎打ちとなった最終面接にも勝ち、内定を獲得しました。
いくら景気が回復し、求人件数が増加してきているといっても、やはり40代の求人は多いとはいえません。40代で転職を考えたとき、売りになるスキルと今後の方向性を自信をもってはっきりいえるように、20代、30代のころから仕事に取り組むことが重要だと思います。そうすれば、花田さんのように、46歳で3つも内定を獲得することも可能なのです。
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