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経営者の言動が職場の雰囲気を創る

株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役社長 小笹 芳央氏

[profile] 1961年大阪府出身。86年早稲田大学政治経済学部卒業、同年株式会社リクルート入社。本社人事部人材開発課長、大手町営業所長、組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員など一貫して組織人事領域を歴任。2000年株式会社リンクアンドモチベーション設立。主な著書に、『「アイ・カンパニー」の時代』(2003年/中央公論新社)、『モチベーションカンパニー』(2002年/日本能率協会マネジメントセンター)、『モチベーション・マネジメント』(2002年/PHP研究所)、 『部下の「やる気」は上司で決まる』(2001年/実業之日本社)

経営者の言動が職場の雰囲気を創る

もし職場の雰囲気を変えたいと願うならば、経営者自身の言動を変えるのが一番効果的な方法です。なぜなら社員は経営者が関心のあることしか耳に入れようとしないからです。 
例えば、顧客のクレームを経営者に伝えたときに、一瞬でも嫌な顔や面倒臭そうな表情が見えたら、その社員は二度とマイナス情報を上げてこなくなります。「また嫌な顔をされるのだろうな」という気持ちが先にたってしまうからです。逆にいつも経営者が関心を持っているテーマは自然に集まってくるものです。
昨夜のジャイアンツ戦の結果、先週のゴルフでのエピソード、或いは新規の契約が取れた話など。「この話なら興味を持って聞いてくれるだろう」という予測が社員の頭の中に形成され、そこが出発点となってコミュニケーションが行われるからです。このようなことが繰り返されると、社員の思考や行動にまで強く影響がでてくることになります。例えば "セクショナリズム"、"新しいことにチャレンジしない安定志向"、"顧客を軽視する内向き志向"など、職場での望ましくない風土は、経営者自身の言動によってもたらされた"悪しき副産物"だと考えるべきでしょう。

関心の範囲や問いかけ、耳を傾けるテーマを変える

セクショナリズムによって経営効率が低下している場合には、経営者は常に部署同士の連携がうまくいっているかどうかを問いかけるべきです。そしてその改善状況に耳を傾け、望ましい行動を見つけたら光を当てる。そして、自らもそのことに時間を費やすことが大切です。新しいことにチャレンジしない雰囲気は、これまで経営者が新しい提案に対してあまり関心を示さなかったり、却下してきたことから生じたものです。もし改善したければ、常に「何か新しいアイデアは?」「失敗を恐れなくても良い」と語りかけるとともに、実際にいくつかの提案を取り入れて試してみることです。また、顧客を軽視する内向き志向によって、業績が低迷しているとしたら、経営者は売上数字に関する話題を避けて、顧客満足に関するコミュニケーションを増やさなければなりません。社員が顧客満足の向上に向けてどのような取り組みをしているか関心を集中し、必要な情報を集めるように心がけなければなりません。
このように経営者が職場の雰囲気を変えたいと思うのであれば、自分自身の関心の範囲や耳を傾けて頷くテーマを変えるのが変革への近道となるのです。

株式会社リンクアンドモチベーション
■会社概要
[社名] 株式会社リンクアンドモチベーション (Link and Motivation Inc.)
[創業] 2000年4月7日 [資本金] 2億2000万円
[事業拠点] 東京(銀座)・大阪(梅田)
[事業内容] モチベーションエンジニアリングによる企業変革コンサルティングなど
TEL: 03-3538-8671 FAX: 03-3538-8672
E-mail:info@lmi.ne.jp URL:http://www.lmi.ne.jp/
2003.10.01 update

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