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「人間」は「人」の「間」に生きる

株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役社長 小笹 芳央氏

[profile] 1961年大阪府出身。86年早稲田大学政治経済学部卒業、同年株式会社リクルート入社。本社人事部人材開発課長、大手町営業所長、組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員など一貫して組織人事領域を歴任。2000年株式会社リンクアンドモチベーション設立。主な著書に、『「アイ・カンパニー」の時代』(2003年/中央公論新社)、『モチベーションカンパニー』(2002年/日本能率協会マネジメントセンター)、『モチベーション・マネジメント』(2002年/PHP研究所)、 『部下の「やる気」は上司で決まる』(2001年/実業之日本社)

「人間」は「人」の「間」に生きる

「人間」という字は「人」の「間」と書きます。これは私たちが様々な人との関係性の中で生かされているという意味でしょう。赤ちゃんの時は、主に母親との関係を、そして少し大きくなると父親や兄弟との関係を育み、その後学校や地域社会との関係を築きながら大人になっていきます。「社会人」という呼び方は、まさに社会のあらゆる集団や個人との関係性の中で生きていることを表しているのでしょう。

会社組織や職場をこの「関係性」という視点で捉えると次のようになります。例えば、10人の営業所があるとしましょう。これを「人」の数で数えれば文字通り、10人です。しかしこれを「間」の数で考えればどうでしょう。10人の所員それぞれを結ぶ関係性の線の数は10×9÷2=45本となります。見方を変えればこの営業所は、10人の職場ではなく、45本の関係性のある職場だということができるのです。

組織の問題は「人」ではなく「間」に存在する

私は長年にわたって、たくさんの会社や職場の改革に取り組んできた経験があります。その経験から言えることは、組織の問題は「人」ではなく「間」に存在するということです。「田中部長が悪い」「小林課長が悪い」というのは誰か特定の人間に問題の原因を求める言い方ですが、ほとんどの場合は「○○氏と△△氏の間が悪い」や「××部と◎◎部の間が悪い」というように「関係性」の方に問題があります。それは「本部と店舗の間」や「営業と企画の間」かも知れません。或いは「社長と中堅幹部の間」など「間」にコミュニケーション不足や相互不信が起こっているケースがほとんどです。
もし読者の会社や職場で何か問題が起こっているとしたら、以上のような「関係性」という視点で問題を見つめて下さい。

「誰が悪いのか」という犯人探しではなく問題を「間」に置くことで、以下の二点の効果をもたらします。第一に問題があることを皆が正直に認めて現状を受け止めてくれること。第ニに問題解決に向けて皆のエネルギーを引き出しやすいこと。「間」の問題に着目し、「間」に頻繁なコミュニケーションを促し、「間」に強い信頼関係を築くことができれば、その会社は「最強の組織」に近づいていくことでしょう。

株式会社リンクアンドモチベーション
■会社概要
[社名] 株式会社リンクアンドモチベーション (Link and Motivation Inc.)
[創業] 2000年4月7日 [資本金] 2億2000万円
[事業拠点] 東京(銀座)・大阪(梅田)
[事業内容] モチベーションエンジニアリングによる企業変革コンサルティングなど
TEL: 03-3538-8671 FAX: 03-3538-8672
E-mail:info@lmi.ne.jp URL:http://www.lmi.ne.jp/
2003.10.01 update

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