成功するシニアの採用

「女性の雇用」と「シニア・プロフェッショナルの有効活用」の関係

森村 学

これまでは「シニア」と「シニア・プロフェッショナル」という表現が混在していましたが、これからは弊社が提唱する「シニア・プロフェッショナル」で統一していこうと思います。

さて、今回のテーマ。皆様の会社でも、重要ポジションで活躍されている女性社員が多いのではないでしょうか。

弊社クライアント企業の管理部門を任されている女性マネージャーが産休に入ることになりました。出産後には復職したいという意向を強く持っています。社長はもちろん部下からの信頼も厚く、復職希望を持ってくれていることには皆様が嬉しく思っている様子。
しかし、それまでの間、対外折衝等の重要業務を引き継げるスタッフがいない。つまり、彼女の産休は経営に大きな支障をきたすのです。おそらくは、復職までは早くても1年。もっとかかる可能性もあります。通常であれば、後任のマネージャーを採用したいところですが、そうなると彼女の復職の道を閉ざすことになってしまいます。社長はたいへん悩んでいました。それほど信頼され必要とされている方という証拠ですね。
どうしたらいいかわからず、弊社に相談が持ち込まれました。

上述のように、後任を正社員として採用することは、復職の道を閉ざすことになります。
とはいえ、派遣社員で対応できるような業務ではない。そこで弊社としましては、弊社登録のシニア・プロフェッショナルを復職までの「ショートリリーフ」として採用していただくことを提案しました。
具体的には、以下のような内容です。

  • 60歳代前半で、同社のマネージャー職としてふさわしい経験と人柄を持ち合わせた方を採用する
  • 現マネージャーが復職した際には、側面からのサポートに回っていただく
  • その際には、フルタイムではなく週3日等の顧問契約に切り替える

例えば40歳代の方を採用してしまった場合、現マネージャーが復職した時にポジションが開けられないことはいうまでもありません。「ショートリリーフ」には不向きです。
ところが、60歳代の方であれば、復職した際にポジションを開けることが可能であるだけでなく、これまでの豊富な実務経験に加え、同社の業務内容を理解していただいたことにより、「顧問・アドバイザー」もしくは「非常勤監査役」として、復職間際のマネージャーのサポートだけでなく、経営や日常業務へのアドバイザーとして、貴重な存在として関わり続けていただくことが可能となります。休職期間中の対応というだけでなく、企業の更なる成長に向けての大きな戦力となっていただけるのです。
このような発想を持ち合わせていた方は誰もいらっしゃらなかったため、たいへん驚かれたことは言うまでもありません。しかしながら、このような採用が可能なのが、シニア・プロフェッショナルなのです。中小企業・ベンチャー企業では、重要ポジションで働く女性も多いです。「女性の雇用」には、出産・復職は必ず付いてくる課題です。その課題を解決するためにも、「シニア・プロフェッショナルの有効活用」を検討してみてはいかがでしょうか。

「本当にそんなことが可能なのか?」そんな疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。シニア・プロフェッショナルならば、十分に可能なのです。それは、シニア・プロフェッショナルの就業意識に大きく関係してくるのです。

森村 学(もりむら まなぶ)
株式会社ライフデザインコンサルティング プロフェッショナル・マスターズ事業部 事業部長
1966年生まれ。
システムエンジニア、営業職を経て、2000年、人材紹介業界へ転職。ベンチャー・中小企業を中心に担当。

2006年、監査役・顧問・アドバイザーを専門とした人材紹介サービス「プロフェッショナル・マスターズ」の設立に参画。
豊富な経験と知識を持つ「シニア・プロフェッショナル」を成長企業の常勤監査役や課題解決のための顧問・アドバイザー職としての採用実績を重ねている。
2007.11.1 update

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