人材を活用できる企業・できない企業

経営政策と連動した人材マネジメントのポイント・2/3

株式会社クイック ヒューマンキャピタル総合研究所

人材マネジメントのポイントは、人材の「特性」を知ること

次に個別的特性ですが、人それぞれの「脳の機能」や「認知メカニズム」の違いのことです。一般的にはその個人の特性=「個性」と理解していただいて結構かと思います。そしてこの個性をどのように定量化しマネジメントで活用できるようにするかについて様々な研究がなされています。最後に反応ですが、その人材から見て取れる思考や行動というアウトプットの一切が含まれます。

[図2]人と反応の仕方(2)
[図2]人と反応の仕方(2)

この[図2]は人材をマネジメントするとはどういうことなのかを象徴的に表しています。つまりマネジメントとは、人材から望ましい思考・行動を引き出すために、人材の個性を理解し、逆算的にそのようなアウトプットが得られるような刺激、すなわち環境造りをすることなのです。これが実在者(既に組織にいる人材=現有社員)に対する効果的なマネジメントとされています。

では、新たに人材を採用する場合はどうでしょうか? それでは、もう一度[図2]をご覧ください。採用にあたっての人材の捉え方は、実在者とは異なります。環境にあたるのは、市場などの外部環境と、社内という内部環境であり、実在者と変わりはありませんが、今後予測される環境変化を加味しなければなりません。そして、この環境(刺激)の中で実施される事業戦略の遂行に必要であったり、期待されるシンボリックな思考・行動が取れる人材は、どのような個別的特性であるのかについて分析し、この個別的特性の保有者を採用するわけです。つまり、直接的な思考・行動について判断(採用選考)するのではなく、これから置かれる環境の中で、そのような思考・行動がとれる個別的特性の保有者であるか否かを判断(選考)して採用する必要があるのです。

ごく最近まで流行していたコンピテンシーモデルは、表層(見て取れる)の思考・行動に重きをおき、今後の環境変化(刺激)やその時に起こる思考・行動(反応)を生み出す個別的特性を重視しない、もしくは無視していたために、多くの導入企業が期待した成果を実現することができなかったのは当然のことなのです。限定的に成果があがったとすれば、それは比較的環境や戦略の近い企業で一定の成果を上げていた人材が採用できた場合ということですが、この人材が将来にわたって成果をあげ続けることができるかどうかはわかりません。

株式会社クイック ヒューマンキャピタル総合研究所
人材・組織コンサルティング事業(人材開発・組織開発・人材課題・組織課題へのソリューション)、制度企画コンサルティング事業、各種組織管理制度の企画・策定・運営をメインに、人材採用から教育開発・最適配置、組織デザインなど人材と組織における経営課題へのトータルソリューションを展開。
URL:http://919.jp/  E-mail:info-jkai@919.jp
2002.10.15 update

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