経営にとって「人材」とは何か
株式会社クイック ヒューマンキャピタル総合研究所
新卒・中途採用において経営戦略・政策と連動した人材の採用・育成・活用を実践していますか? 今回は経営政策に連動した、一貫した人材・組織マネジメントのあり方についてご紹介します。前編はマネジメントを考える前に大切な「経営にとっての人材」をクローズアップして考えていきます
みなさまの企業に入社された新入社員も、間もなく半年を迎えようとしています。では、半年経った新入社員の現状はいかがでしょうか? みなさま方の期待通りの活躍をされている人材、やる気を失っている人材、または退職された方もいるかもしれません。 これは新入社員に限らず中途入社、さらにはすべての社員でも同じことです。それではなぜこのような差が何によって生じるのでしょうか?
みなさまの企業では、数々の経営政策と連動しながら採用・育成・活用と一貫した人材と組織のマネジメントをなさっておられるでしょうか? 要員に欠員が出れば人事か総務が採用を行い、活用は配属された部門の上司次第、そして育成には組織の誰もが責任を負っていない!・・・残念ながらこのような場当たり的な対応をしながら「当社の人材は!」と不満を語られる企業が少なくありません。
経営政策と連動した、一貫した人材・組織マネジメントのありかたを考えるにあたって、「経営にとっての人材」というものを明確にいたしましょう。
経営資源といえば、一義的には「人(人材)」・「モノ(商品・サービス等)」・「金(資金)」と言われていますが、「資金」であれば自己資本であれ負債であれ1千万円は1千万円の働きをしますし、「モノ」は比較的、性能で示しやすく、その品質管理も難しくはありません。しかし「人材」ばかりはその機能は確定的なものではありません。例えば、前職でスーパースターのような営業マンを採用したのに、当社に入社後はパッとしない。前期には素晴らしい成果をあげていたのに、担当商品や販路が変わったとたん、人が変わったように成果があげられなくなった・・・、ということはよく経験するところです。
このように、『経営資源の中で「人材」は最も不確定な資源である』ということができます。では、このような不確定な資源である人材を活用し、継続的に業績をあげ自社を成長させるためにはどのようにすればよいのでしょうか。
経営資源としての「人材」に関して、次のように捉えることができます。それは 『 「人材」には期待はしても依存をしてはならない 』ということです。しかしながら現実は「期待もしていない人材に依存せざるを得ず、不十分な成果に終わっている」ことが少なくないようです。こう言えば、なにか人材に対して冷たい響きのように受け取られるかもしれませんが、むしろ逆なのです。
『「人材」とは可能性を秘め期待されるべきものである』と規定することができます。しかしながら同時に、先ほど述べたように『経営資源の中で「人材」は最も不確定な資源』でもあるのです。では、この矛盾に対する答えは何でしょうか。
それは『経営とは政策(戦略)とシステムで組織を動かし、その組織が「人材を活かす場」となり事業の成果をあげる』のであり、これをなしうるのが真の戦略を持った企業といえるのです。さらに興味深いのは、このような企業にこそ有能で成果をあげる人材が集まってきて、その企業と業績をより素晴らしくするのです。
単に良い人材を得ただけで企業業績が良くなるような「人材依存型経営」では、そこに戦略は必要でないことになりますし、このような人材が引き続き、戦略不在の企業に対しロイヤリティーを持ち続けるでしょうか。「人材を活かす場」となりうる組織というのはどういうものなのか。次回、「人材マネジメント」のポイントをおさえながら、考えていきたいと思います。<<次回に続きます>>